生物多様性の保護に不可欠な協力体制


WEFグローバルリスク報告書2021年版

より顕著なのは、生物多様性の喪失が初めて「可能性別」リスクと「影響度別」リスクの上位5位内に入った点であり、世界の安定にとって生物多様性がますます重要になっていることが認められるほか、差し迫った環境上の脅威に対するグローバルな経済的・社会的制度の脆弱性についての意識の高まりが見られます。

最近の”We Value Nature 10-Day Challenge”で生物多様性の喪失に対処する必要性が議論され、エイプリル社は「絶滅の危機にある野生生物の保護を目的としたパートナーシップの構築」セッションの司会を務めました。”We Value Nature”は、EU Horizon 2020が資金提供する三年間のキャンペーンです。このキャンペーンは自然を欧州の企業にとってのニューノーマルと評価してもらう目的で企業と自然資本コミュニティを支援しています。生物多様性の喪失リスクに対処するにあたり、官民が連携して取り組める方法を話し合うため、このセッションにFauna & Flora International(FFI)、Sintas Indonesia、エイプリル社から著名な講演者が集まり、WEF報告書結果は議論の背景となりました。

今回の対話から明らかになったのは、現状において営利企業と環境保護団体のさらなる協働的なアプローチが必要であることを多くの人が認めている点です。これは営利企業にとっても好ましいことです。健全な生態系は、エイプリル社のような資源ベースの企業の持続可能な生産に不可欠であり、健全な生物多様性なくして持続可能な生産の実現はあり得ません。

同時に、環境NGOは長期にわたり生物多様性喪失の対処に尽力してきました。環境NGOは長きにわたる経験や技術的能力を持ち合わせており、天然資源業界が持続可能な将来へ向かう基準や枠組みについて深い理解を示しています。

今回のセッションで講演したFFIの開発部門ディレクター、Pippa Howard氏は、生物多様性の保護に向けた協働は、生産面での資源の持続可能な利用および進展を加速させる中での生物多様性の価値と密接に関連していなければならないことを明らかにし、「また、協働により、特に新興国で物事が速やかに実現できるよう機敏性とスピードが改善されるでしょう」と述べました。

もう一つ強調されたのは、現地の環境NGOとのパートナーシップ構築の重要性でした。エイプリル社とエコシステム回復プログラムであるRestorasi Ekosistem Riau (RER)は、インドネシアのスマトラトラとヒョウの保全を専門としている現地NPO、Sintas Indonesiaと密接に連携してきました。

Sintas Indonesia/Forum HarimauKitaのディレクター、Hariyo T. Wibisiono氏は、このセッションで官民協働の利点について質問を受けた際に「この数年間で、インドネシアの専門家と現地NGOの環境保護に関する技術的能力が拡大してきました。これは、インドネシアの自然景観と政策のダイナミクスに起因した今後のパートナーシップ構築の絶好の機会です」と語りました。

結局、一番重要なことはレジリエンスだとエイプリル社のサステナビリティ・オペレーションズ・マネージャーCraig Tribolet氏は言います。「自然の重要性を理解できない企業は、企業の営業ライセンスだけでなく、世界の気候目標達成能力をも危険にさらしています。ですから、生物多様性の保護はエイプリル社の持続可能性に対する強い願望の重要部分となっており、エイプリル社はRestorasi Ekosistem Riauプログラム、プランテーション1ヘクタールに対し森林1ヘクタールを保全するという1対1のコミットメントを含む持続可能な森林管理方針2.0、そして2030年までに気候、自然、人にプラスの影響をもたらすことを目的として最近公表されたAPRIL2030のコミットメントと目標を介して厳粛な誓約を立ててきました。

最近のこうしたコミットメントには、景観保全への投資およびバランスの取れた生産・保護アプローチの一環としてのインドネシアの野生生物の保全支援があり、保全と回復を長期にわたって維持するために必要な技術的能力と資源に係る資金は生産によって調達されます。


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